不動産を売却する機会はそう多くないため、どのような手順で売却が進んでいくのか、なかなかイメージが湧きづらいと思います。
今回は、低層マンションの売却がどのような手順で進んでいくのかを記事にまとめました。東京で低層マンションを所有しており、売却を検討されている方は、ぜひ参考にしていただければと思います。
1. マンションの査定
まずは、「お部屋がいくらで売れるのか」という価格を知ることです。
当然ながら、査定額は不動産会社ごとに査定方法や考え方が異なります。ここで大切なのは、単に周辺の成約事例をもとに高額な査定額を提示してくれた不動産会社に依頼するのではなく、マンション全体やお部屋の特徴をしっかり理解し、査定額の根拠をきちんと説明できる不動産会社に依頼することです。
低層マンションの場合、タワーマンションとは異なり、同じような広さの住戸でも、3階より1階の方が高く売れるケースがあります。これは、タワーマンションほど眺望による価格差が大きくなく、階数による成約価格の差が比較的小さいことが、低層マンションの特徴の一つだからです。
また、査定で重視されるポイントは、専用庭付き住戸、角部屋、ルーフバルコニー付きなどによって変わります。そのため、住戸ごとの個別性を踏まえた価格設定が必要です。
2. 販売価格を決定する
査定結果をもとに、実際の販売価格を決定します。ここはあくまでも「販売を開始する価格」を決めるため、この金額で必ず売れるとは限りません。
販売価格は、どの程度のスピード感で売却したいかによっても変わりますが、一般的には、成約相場よりも1割程度高めの「チャレンジ価格」から販売を開始する事が多いです。
3. 媒介契約書を締結
媒介契約書とは、一言でいうと、正式に不動産会社へ売却を依頼するための契約書です。
以下の3種類があり、その中から選択することになります。
| 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
|---|---|---|---|
| 依頼できる不動産会社 | 複数社に依頼可能 | 1社のみ | 1社のみ |
| 自分で買主を見つけて直接契約 | 可能 | 可能 | 不可 |
| レインズへの登録 | 義務なし | 7営業日以内 | 5営業日以内 |
| 売却活動の報告 | 義務なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
4. 物件状況報告書の作成
物件状況報告書とは、売主が現時点で把握しているマンションやお部屋の状況について記載する書類です。
下記は実際に使用している書類で、過去のリフォーム履歴や雨漏り・水漏れの有無、設備の不具合などについて確認しながら記載していきます。


5. 販売前の準備
セカンドハウスなどでお部屋が空室の場合と、実際に居住中の場合とでは、販売前の準備や内覧時の進め方が異なります。
【空室の場合】
販売開始前に室内クリーニングを行い、お部屋をきれいな状態に整えます。
家具や小物を配置し、実際の暮らしをイメージしやすい空間に整えます。※必要に応じて実施
室内や共用部、外観などを撮影し、広告掲載やSNS、動画など販売活動に使用します。
ポータルサイトやレインズ、自社サイト、SNSなどへ掲載し、販売活動を開始します。
【居住中の場合】
販売用の写真・動画撮影に向けて、お部屋を整えます。
6. 販売開始
レインズ(不動産会社向けの物件情報サイト)や各種ポータルサイト、YouTubeなどを活用し、不動産会社が販売活動を開始します。
どのような内容で募集されているのか確認できるよう、不動産会社が作成した販売図面は、メールや郵送などで送ってもらうようにすると良いでしょう。
※下記は弊社で作成しているサンプルの販売図面です。

7. 買付申込の受領
購入を希望する買主が見つかると、「買付申込書」という書類が不動産会社から送られてきます。
買主の希望購入価格や条件を確認し、売主・買主双方で金額や条件に合意すると、次のステップへ進みます。

8. 契約書類の作成
ここでは、売買契約書に記載する条件について、売主・買主双方で確認しながら調整していきます。主な確認事項は以下のとおりです。
- 売買契約日
- 手付解除期日
- 契約不適合責任
- 融資利用特約
- その他の特約事項
9. 契約締結
作成した書類をもとに、売買契約を締結します。売却時には下記の書類が必要になるため、事前に準備しておくようにしましょう。
【個人の場合】
- 住民票
- 印鑑登録証明書
- 御実印
- 身分証明書
- 登記識別情報通知(もしくは権利証)
- 手付金の着金確認ができる通帳など※
【法人の場合】
- 履歴事項全部証明書
- 印鑑証明書
- 代表印
- 身分証明書
- 登記識別情報通知(もしくは権利証)
- 手付金の着金確認ができる通帳など※
※スマートフォンで着金確認できる場合は通帳の持参不要
10. 権利移転届の提出
マンションの管理会社へ「権利移転届」を提出します。この書類は、売主から買主へ所有者が変更になることを管理会社へ通知するために必要です。
管理費や修繕積立金などに未払いがある場合は、引き渡しまでに精算しておきましょう。

11. ライフラインの解約
電気、ガス、水道など、契約しているライフラインの解約手続きを行います。引き渡し前に設備の確認などを行う場合があるため、原則として引き渡し日までは使用できる状態にしておきましょう。
インターネットやケーブルテレビなどの契約がある場合も、あわせて解約手続きを確認しておきます。
12. 引き渡し(決済)
司法書士による登記手続きと、売買代金の残代金の決済を行います。買主から残代金を受領後、所有権移転登記や抵当権の抹消手続きを行い、鍵や関係書類を買主へ引き渡して、売却完了となります。
決済時には下記の書類が必要になるため、事前に準備しておきましょう。登記識別情報通知(または権利証)を紛失している場合は別途手続きが必要になるため、早めに確認しておくことをおすすめします。
【個人の場合】
- 登記識別情報通知(もしくは権利証)
- 住民票※
- 印鑑登録証明書※
- 身分証明書
- 残代金の着金確認ができる通帳など
- 鍵
- マンション関連の取扱説明書一式
【法人の場合】
- 登記識別情報通知(もしくは権利証)
- 履歴事項全部証明書※
- 印鑑証明書※
- 身分証明書
- 残代金の着金確認が出来る通帳
- 鍵
- マンション関連の取扱説明書一式
※個人の場合に必要な住民票・印鑑登録証明書、法人の場合に必要な履歴事項全部証明書・印鑑証明書は、契約締結前に取得したものでも、決済日から3か月以内に発行されたものであれば、そのまま使用できます。
よくある質問(F&Q)
- 査定をお願いしたら、必ず売却しなければいけませんか?
いいえ、査定後に必ず売却する必要はありません。現在の資産価値や相場を知る目的でもご利用いただけます。
- 不動産会社によって査定価格が違うのはなぜですか?
参考にする成約事例や市場の見方、物件の評価方法が会社ごとに異なるためです。特に低層マンションは、階数や方角、専用庭、ルーフバルコニー、角住戸、眺望など住戸ごとの個別性が高く、評価に差が出やすい傾向があります。金額だけでなく、査定の根拠を確認することが大切です。
- できるだけ早く売るにはどうすればよいですか?
市場相場に合った価格設定と、売出し開始直後の販売活動が重要です。ポータルサイトに掲載するだけでなく、写真や室内の見せ方を工夫したり、動画や物件専用のLPを作成したりすることで、物件の魅力が伝わりやすくなり、早期売却につながります。
- 売却するときにはどのような費用がかかりますか?
主に仲介手数料、印紙税、登記費用がかかります。売却益が出た場合は、譲渡所得税がかかることもあります。概算シミュレーションを作成してお送りする事も可能です。
- 住宅ローンが残っていても売却できますか?
はい、可能です。一般的には売却代金で住宅ローンを完済し、抵当権を抹消してから買主へ引き渡します。
まとめ
低層マンションの売却で特に大切なポイントは、適正な査定と、契約締結後に必要となる書類の準備です。戸建てとは異なり、管理規約や修繕計画、管理費・修繕積立金など、マンション特有の確認事項も多くあります。
また、低層マンションは住戸ごとの個別性が高いため、その特徴や魅力を正しく評価し、適切な販売方法で伝えることが重要です。売却をスムーズに進めるためにも、早い段階から必要書類や手続きについて確認しておきましょう。
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